1→広範囲熱傷の急性期には、通常、血管透過性が増加します。これは、炎症メディエーターのリリースによって引き起こされ、結果として血液成分が血管外へ漏れ、浮腫を引き起こします。
2→広範囲熱傷の急性期では、カタボリックな状態が支配的であり、筋肉からのアミノ酸の分解(筋タンパク質の分解)が増加します。この過程で生じたアンモニアは、尿素として尿中に排泄されるため、尿中窒素排泄量は増加します。
3→広範囲熱傷患者の急性期には、ストレス反応によってカテコラミン、コルチゾール、グルカゴンなどのホルモンが増加します。これらのホルモンはインスリン抵抗性またはインスリンの分泌抑制を引き起こし、結果として血糖値が上昇する(高血糖をきたす)現象が発生します。
4→広範囲熱傷患者、特に急性期においては、血管透過性の増加とともに大量の体液が失われ、脱水状態となる可能性があります。したがって、適切な水分補給は必須であり、水分を制限することは適切な管理ではありません。
5→広範囲熱傷患者では、タンパク質の分解が進むため、十分なタンパク質の補給が必要となります。NPC/N(非タンパクエネルギーと窒素の比)を高く設定すると、タンパク質の供給が不足し、さらなる筋タンパク質の分解を引き起こす可能性があります。通常、急性期の熱傷患者に対しては、NPC/Nは低く設定することが推奨されています。